★このページの初出 2020年2月22日
★このページの最終更新日 2020年3月26日
1.第1章の必要性
1.本当にありそうな場所だと思わせ、現実感を出す
作者は、作品の冒頭で『千葉県の花和村』と県名+村名まで特定することで、読者に
「これは今も現実に存在している村の話」
という現実感を与えています。
もしこれを場所を特定せずに、例えば
「ある村に『ベロ出しチョンマ』というオモチャがある」
などと書くと、多くの読者が
「作者が勝手に創作したオモチャの話だ」
と思ってしまい、現実感が損なわれてしまいます。
現実には千葉県に花和村はないようですが、物語の冒頭で実際にあるように書くことにより、読者は現実感を持って物語に入って行くことができるのです。
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2.村と特定することで、田舎感を出す
作品の冒頭で村と特定することにより、読者に「田舎の話」だという印象を与えています。
もし、これが「東京の中央区」とすると、読者の印象が全く違ってしまう上に、実際の場所を探す読者まで出て来てしまいそうです。
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3.江戸に近いという設定で、父親の行動に現実感を出す
この物語の元になった事件が千葉であったということを踏まえて、場所を江戸に近い場所に設定したのも、物語の進行上重要な意味を持っています。
もし江戸から遠い場所に設定した場合、長松の父親が将軍さまに会いに行くのに何ヶ月もかかってしまうので、ネングを納めるまでに将軍さまに会えるかどうかも分かりません。
はたして村人達がそんなまどろっこしい反抗方法を取るのだろうかという疑問が、読者に湧いて来てしまいます。
もっと手っ取り早い反抗方法を取る方が現実的だと思えてしまうのです。
そこで、江戸に近い場所という設定にしたことで、長松の父親が直訴という反抗行動を選んだことが現実味を帯びて来るのです。
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【この章の要約】
作品の冒頭で千葉の花和村と特定することで、現在も存在しているような現実感を出している。
村と特定することで、田舎の話だと読者に伝えている。
江戸に近い場所という設定で、長松の父親の直訴という行為に現実感を持たしている。
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