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作品名 僕だけがいない街 作者名 三部けい
ぼくだけがいないまち さんべけい


　　★このページの初出
　　2020年9月22日
　　★このページの最終更新日
　　2020年9月22日

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覚悟が未来を変える！

出版社 株式会社ＫＡＤＯＫＡＷＡ
初出・連載時期 月刊『ヤングエース』2012年7月号〜2016年12月号
管理番号 c-9

作品概要 作者紹介
危機を回避できる能力を持った藤沼悟は片桐愛梨と心を通せる。そして過去で同級生の雛月加代などと関わりながら、狡猾な殺人者を追い詰めて行く。 北海道出身、千葉県在住。作品に『魍魎の揺りかご』『夢で見たあの子のために』『水溜まりに浮かぶ島』など。

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この作品を殿堂に入れようと思った理由です。

１ 緊迫感のあるストーリー
同じ場面を繰り返し見ることで現実の他人の危機を回避できる「再上映」（リバイバル）能力を持つ主人公藤沼悟が、少年時代に戻って殺人事件の回避にチャレンジしながら、非常に狡猾な殺人者を追い詰めて行きます。どうやって人を救うか、どうやって殺人者を追い詰めるか、常に作品中に緊迫感があり、読み始めると止めることができません。

2 現実感を構築している絵
現実をやり直せるという非現実な事象が違和感なく読者に伝わるのは、絵がしっかり描き込まれ、作品世界に非常に現実感があるからです。
しかしただ沢山描かれているだけでは、今度は人物やセリフの印象が薄くなってしまいます。描くところは描き省くところは省くというメリハリが大切なのですが、三部けい氏は非常にその使い分けが上手で、無駄なく現実感を醸成しています。











3 好感度の高いキャラクター
主人公藤沼悟はもちろんのこと、母親の佐知子、辛い同級生雛月加代、クレバーな小林賢也、真っすぐ生きようとする片桐愛梨、佐知子の元同僚澤田真など、魅力のある好感度の高いキャラクターが沢山登場します。











4 謎めいたタイトル
作品にとってタイトルは極めて重要ですが、この『僕だけがいない街』というのは、読者が「どんな状況なのか？」と興味を惹かれ、しかも作品内容とも合致する、素晴らしいタイトルです。











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管理者に特にインパクトのあった話や描写や言葉をピックアップします。

「夏になったらまた見に来よう　このクリスマスツリー」
角川コミックスエース２巻18ページ　
２月にクリスマスツリーを雛月加代と二人で見に行った主人公が言う言葉。加代からは「バカなの？」と返される。

二人の気持ちが伝わり、作品中最も優しく美しい場面の１つだと思います。

今からお前のこと、誘拐するけどいい？
角川コミックスエース４巻71ページ
主人公が殺人者から雛月加代を守るために言う言葉。
加代は「…バカなの？」と言いつつ、「そう言ってくれると思った」と答える。

緊迫した場面が続く中の、とても温かい場面。












「つまづいたら、そこが新しいスタート地点だ」
角川コミックスエース8巻171ページ
主人公が好きなヒーロー「戦え！ワンダーガイ」のセリフ。この作品を象徴する言葉。
一人ぼっちで戦っていたワンダーガイは「人信じることが武器だ」と言って仲間を増やします。
その姿はまさに主人公に当てはまります。

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管理人が好きなキャラクターの紹介です

藤沼悟（ふじぬまさとる）
主人公。初登場時は売れない漫画家のタマゴ。再上映（リバイバル）という特殊能力を持ち、人知れず人助けをしていた。
この物語は藤巻悟の成長を描いていると言っても間違いないと思います。
時には失敗しながらも、自分で覚悟して雛月加代などと関わって行きます。
思ったことを口に出す癖などもあり、親近感も高いです。
正義感も強く、応援したくなる素晴らしい主人公です。

雛月加代（ひなづきかよ）
親から虐待を受け、しかも連続殺人事件の被害者となってしまう同級生。
「バカなの？」が口癖で、クラスでも浮いた存在。文集に誰もいない所に行きたいと書いていた。
閉ざされた氷の世界にいるような子ですが、藤沼悟は
「君は大切な存在だ」
という意思を表示し、深く強く関わって行きます。そんな二人の姿が描かれる場面は、作品中最も胸打たれます。

藤沼佐知子（ふじぬまさちこ）
主人公の母親。元テレビ局報道部記者。恐ろしく若く見えるらしい。
息子を信じ、陰に陽に支え続ける。また雛月加代の母親に意見するなど、行動力もあります。
この素敵な母親に育てられたらからこそ、主人公の悟の行動に違和感を感じることがありません。作品全体を包み込むような強く優しい母親です。

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管理人と作品との関わり、読む際に知っておくと一層楽しめる情報、管理人個人の期待や意見です。

数年前、タイトルに惹かれて購入した作品。購入してからアニメや映画などにもなった大ヒット作だと知りました。

余りに面白いので、全巻を一気に揃えました。

ストーリーがミステリー仕立てで非常に練られており、どんどん続きを読みたくなります。

そのストーリー自体も好きなのですが、僕が一番好きなのは主人公藤沼悟と雛月加代が互いに信頼し合って行く場面です。

クリスマスツリーを見に行ったり、科学センターに行ったり、誕生会をしたりするのですが、その間に固く固く凍っている雛月加代の心が、少しずつ温かさを取り戻して行きます。

その姿がとても感動的で好きなのです。


主人公は再上映（リバイバル）という能力を持っており、自分の大切な物を失う代わりに、他人の危機を回避させることができます。他人の危機が大きければ大きい程、自分の失う物も大きいようです。

もし僕が同じ能力を持っていたら、藤沼悟のように他人に関わって行けるだろうかと考えてみました。

恐らく同じようには、できないだろうと思います。

自分の大切な物を失うのが怖いからです。自分の命さえ失いかねないのに、他人の危機を救うことは多分僕はできないのです。

しかし藤沼悟は、自分のことを顧みず雛月加代などに積極的に関わって行きます。
その結果がどうなるのかは、読んで頂ければ分かりますが、その行動には勇気を貰えます。

失敗を繰り返しながら、大切な物も失いながらも、覚悟を決めて行動する藤沼悟の姿は、僕らに
「失敗しても諦めなければなんとかなる」
という勇気をくれるのです。

僕らの生きる現実では過去に戻ってやり直すことはできません。
だから過去を消すことはできません。

しかし自分の行動で、未来は変えることができます。
藤沼悟のように信念を持って諦めずに行動すれば、自分の願う未来に近づくことはできるのです。

そんな風にも思える、これから生きて行くのに希望が持てる作品でもあるのです。


この作品を読みながら、
「非常によく練られたストーリーなので、もしこれがマンガでなくて書籍だったら、同じように大ヒットしたのだろうか？」
と考えてみました。

結論は
「ヒットはしたかもしれないが、今あるマンガほどではなかっただろう」
でした。

なぜなら、この作品はセリフの位置、人物描写、背景描写など、どれをとっても極めて精緻な計算の上で配置されており、
「マンガでしか描写できない表現」
で完成されているからです。

マンガという表現でしか、成しえなかった作品と言っても過言ではありません。

そんな風にも思える、マンガというもののパワーを感じさせてくれる作品でもあるのです。


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作品を今読むにあたっての注意点、版元の変遷、作家のその後など作品・作者について管理人が
必要だと思った情報を掲載しておきます。

まだ新しい大ヒット作品ですので、特に読むにあたっての注意点はありません。

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このページを作成する時に使用した作品の詳細を底本として記載しておきます。
また参考にした書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。
さらに関連して読んで頂きたい書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。

底　　 本 1・2巻は6刷、3巻は21刷、4巻は13刷、5巻は10刷、6巻は7刷、7巻は3刷、8・9巻は初刷を底本にこのサイトを作成。
参 　　考 特になし
関　　 連 版元オフィシャルサイト

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『僕だけがいない街』を購入されたい方のための情報
※必ずこの表中段の「購入にあたっての注意点」をお読みください
『僕だけがいない街』の現在の販売状況
2020年9月現在、大ヒット作品なので容易に手に入ります。
電子版も購入できます。
人気作なので、関連本もあります。
購入にあたっての注意点
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