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雨柳堂夢咄

作品名 雨柳堂夢咄 作者名 波津彬子
うりゅうどうゆめばなし はつあきこ


  ★このページの初出
  2020年2月22日

  ★このページの最終更新日
  2020年5月2日


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霧雨のように美しい、温かくも切ない夢物語

出版社 朝日新聞社
初出・連載時期 1992年ネムキVOL2より連載中
管理番号 c-4

作品概要 作者紹介
物の想いがわかる骨董屋の主人公蓮を中心に、物にまつわる人々の愛憎や、物自体の想いを描く浪漫漫画。 12月26日石川県金沢市生。1981年『波の挽歌』(ALLAN)でデビュー。代表作に本作、『鏡花夢幻』『唐人屋敷』シリーズなど。

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この作品を殿堂に入れようと思った理由です。

機微溢れるストーリー
大正時代を思わせる世相を背景に、骨董などの物と人間の関わりが描かれています。恋愛話、親子話、友情、主従などの人間関係の機微が物を通して語られます。
胸が熱くなる話、切なくなる話、微笑ましい話…読者の心に骨董のように残る印象的なストーリーが織りなされます。

2 深い文化知識
この作品には様々な和洋の骨董や物が登場しますが、特に和物の知識は凄いなあと感動します。
日本の伝統文化、伝統工芸、着物などの素晴らしさを再発見できます。











3 美しい絵
作中には様々な美術品や華やかな着物が登場しますが、いずれも非常に繊細に美しく描かれています。
また登場人物達も綺麗で、まるで絵画を見ているようです。
当然絵の人気も高く、画集が発売されていたぐらいです。











4 とても読みやすい
基本的に1話完結で、同じ登場人物も一部を除いて登場しないので、どこからでも読み始めることができます。
セリフも多過ぎないので、スラスラ読み進めます。











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管理者に特にインパクトのあった話や描写や言葉をピックアップします。

『朝顔写し』 あさがおうつし
朝日コミック文庫1巻 P201 
自分をかばって大好きだった兄が死に、自分も歩けなくなってしまった真織の話。
どうしようもない思いを物を壊したり、人に八つ当たりしたりする真織の姿が切ないです。
最後に咲く朝顔は、白黒の画面なのに鮮やかに色づいています。

『春の寺』 はるのてら
朝日コミック文庫4巻 P141 
物を癒して直すことのできる手を持つ、つくろい者釉月(ゆづき)の話。
妙心尼の優しさが胸を打ちます。












『犬筥』 いぬばこ
朝日コミックス文庫9巻 P83
奉公していた家にあったお雛様に附属する犬筥にまつわる話。
文庫版でわずか8ページの短編。
しかし話はしっかり成立しており、登場人物の思いが余韻となって伝わって来ます。
短編の名手波津彬子の魅力溢れる作品。

『福良雀』 ふくらすずめ
朝日コミック文庫11巻 P179
下働きの娘富久(ふく)の話。福良雀の温かさが胸に染みます。

僕は、ある観光地の、今は無くなってしまったお土産屋で買った木彫りの小さくて可愛い福良雀を持っています。
この作品を読むと、この福良雀も大切にしたいと思います。












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管理人が好きなキャラクターの紹介です

蓮 れん
主人公。骨董店雨柳堂の店主の孫。
黒猫のように黒い衣装の美青年で、物の想いが分かる。プロフィールや普段の生活は明らかにされていないので、この作品で最大の謎(笑)。
たおやかな柳のようなとらえどころのない、魅惑に溢れた主人公。

釉月 ゆづき
不幸な生い立ちを持った心優しきつくろい者。
とても性格が素直で優しい。登場すると物だけではなく読者の気持ちも癒してくれる人物。
釉月を見ていると、物を大切にしないといけないなあと思えて来ます。

篁青二郎 たかむらせいじろう
深見性だったことも。青藍(せいらん)という名もある。他にも様々な名前で贋作を作成したりしている。
焼き物の才があるが、義兄との関わりでまともな作品を作らなくなっている。
釉月との関わりも深い人物。悪人のようで悪人でない、とらえどころのない芸術家。

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管理人と作品との関わり、読む際に知っておくと一層楽しめる情報、管理人個人の期待や意見です。

自分でも不思議なのですが、いつどこでなぜ読み始めたか全く覚えていない作品です。
最初は大判のコミックスで読んでいたのですが、スペースの関係で文庫版で揃えています。

このサイトでも取り上げている『百鬼夜行抄』と共にNemuki+で連載されています。
単行本の巻数は少ないですが、この作品の方が先に連載を開始しているようです。

僕は書籍でも短編が好きなのですが、この『雨柳堂夢咄』は名作マンガ短編集といった面持ちの、心に余韻の残る読みきり作品が満載です。

一話の長さも8ページぐらいの超短編から数十ページのものまで、自由自在です。

長編より短編の方が物語を作るのは難しい部分もあるので、これだけの短編マンガを描くことのできる作者の力量は並々ならぬものがあると思います。

タイトルもとても印象的です。

雨柳堂の「雨柳」は、なにか霧雨の中に柳が揺れていそうで、美しくたおやかで儚く幻想的です。
夢咄の「咄」はあまり使わない漢字で、落とし話・小話という意味もあります。
つまり美しく儚く幻想的な夢の小話というイメージです。

そのタイトル通り、読者を儚く憧れる世界に誘ってくれる作品です。

僕にとって、ずっと見ていたい夢のような作品です。

少年誌や青年誌にはない作風の作品ですが、短編をしっとり読みたい方にはお勧めです。

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作品を今読むにあたっての注意点、版元の変遷、作家のその後など作品・作者について管理人が
必要だと思った情報を掲載しておきます。

2008年に版元が朝日ソノラマから朝日新聞社に変わりました。

それに伴い、版元変更以降に刷られた新刊及び既刊本は発行元が朝日新聞社になっています。
ただ装丁も内容は変わっていないので、旧版をお持ちの方も新刷本に変更する必要はありません。

現在も連載中の作品ですので、版元変更以外特に注意する点はありません。
内容も元々夢咄なので(笑)、いつ読んでも全く問題ありません。

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このページを作成する時に使用した作品の詳細を底本として記載しておきます。
また参考にした書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。
さらに関連して読んで頂きたい書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。

底   本 1巻〜8巻はソノラマコミック文庫
9巻以降は朝日コミック文庫
1巻は5刷、2巻は6刷、3巻は5刷、4巻は4刷、5巻以降は初刷を底本にこのサイトを作成。
参   考 特に無し
関   連 著者発信 版元オフィシャルサイト

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雨柳堂夢咄』を購入されたい方のための情報
※必ずこの表中段の「購入にあたっての注意点」をお読みください
『雨柳堂夢咄』の現在の販売状況
2020年1月現在、朝日コミック版と朝日コミック文庫版が販売されています。
電子書籍版も発売されています。

美しい表紙や繊細な絵を愉しみたいのであれば、お勧めは文句なくコミック版です。大判なので読みやすいのも魅力です。

文庫版は発刊が初出より結構遅く、絵も字も小さいので波津ワールドを堪能するには物足りないかもしれません。

ただ各巻に「解説」がついているので、作品を奥深く愉しむにはお勧めです。
購入にあたっての注意点
※必ずお読みください

注意事項にも記載させて頂いた通り、このサイトは購入サイトをご紹介するのみであって、直接商取引には関与致しません
従って商取引は販売サイトと購入者との間で成立する行為となり、このサイトは一切責任は負えません
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「本を購入してみたが、このサイトに書いてあるようには感じなかった」
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等の苦情・意見は一切受け付けませんので、購入の際は十分留意してください。
購入サイト紹介
※右段のリンクから購入サイトへ移動できます
最も安心! オフィシャルサイトからはamazonにリンクされています。文庫版は別のページから購入できるようです。こちらは楽天等にもリンクされています。
版元(朝日新聞出版)サイト
発送早く、送料無料の場合有り!
amazon
ポイント付与されることも!
楽天ブックス
本屋さんのサイト!
複数の本屋様サイトで販売されています。
他のサイトでも購入できます!
その他のサイトです

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