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週刊少年ジャンプ作品衰退の法則

★このページの初出 2021年4月11日
★このページの最終更新日 2021年4月18日

7.マニアックになりすぎる


<このページの目次>
1.最近の少年ジャンプの人気作品は緻密
2.緻密になったのは読者のニーズ
3.綿密さは諸刃の剣
4.マニアックになり、普通のファンが離れる
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1.最近の少年ジャンプの人気作品は緻密
長年少年ジャンプを読んで来て最近感じていたのは、昔に比べて作品内容が緻密だということです。

ストーリー展開はもちろんですが、人物設定、世界観、
必殺技の設定などもとても緻密です。

特に
バトルものは、昔に比べれば随分深く作りこまれていると思います。

必殺技を出すのも、昔はいつでも出せたのが、いまは「
条件」が整わないと発動できないというのも多くなっています。

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緻密になったのは読者のニーズ
なぜ少年ジャンプ作品が緻密になって来ているかと考えると、やはり読者のニーズだからだと思います。

昔は、本当に少年だけが読んでいたのが、段々
読者層が広がり、青年や女性、僕のような高齢者まで読むようになっています。

また人気作品の連載期間が長くなっているので、読者はどんどん
深く作品に付き合うようにもなって来ています。

さらにアニメやゲームなどの
他の媒体でも作品が深く作りこまれるようになって来ています。

読者層が広がり、購読期間も長くなり、他の媒体も作りこまれて来ると、当然読者は少年ジャンプ作品にも緻密さを要求して来ます。

大昔なら曖昧でもなんとかなった設定も、現在では読者は
納得しないようになっているのです。

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緻密さは諸刃の剣
作品が緻密であるということは、読み応えも高まりますし、物語やキャラクターへ読者の親和感も深まりますので、作品がヒットする重要なファクターとなります。

しかしデメリットもあります。

緻密に深く作りこめば作りこむほど、どんどん
理解しにくくなってしまうのです。

例えば、ある必殺技は
「味方が技の領域内にいないこと」
「自分が2つの基本技を既に同時に繰り出していること」
「敵が必殺技の領域内に一人でいること」
という
3つの条件が無いと発動しないと設定したとします。

まず読者にとって、この3つの条件を覚えるのが
しんどいです。

しかもバトルの最中に、この条件がいつ
満たされたのかを理解しないといけなくなります。

さらに現実の作品では、敵も同じような発動条件を持っていたりするので、読者は
複数の発動条件を覚えて、現在のバトルの状況を把握し、どちらが発動できるのかを考えないといけないのです。

もっと言うと、そういったバトルが
複数の場所で描かれることも多いので、それぞれの技の発動条件を覚えておかないといけないのです。

はっきり言って、
難易度はかなり高いです。

その上、技だけでは無く、主要登場人物の背景や関係、作品内世界観なども連動して描かれますので、読者が全てを理解するのは、
困難になって来ます。

このように、作品を緻密に作り込めば作りこむほど、読者は理解しにくくなってしまうのです。

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マニアックになり、普通のファンが離れる
作品がヒットしても制作側が大きく物語を進行して行けばいいのですが、作者が元々緻密な世界観が好きな場合などは、どんどん作品がマニアックになって行きます。

物語に描かれたあらゆる事象や人が
関連し合い、バトルも非常に複雑に描かれるようになって行ったりします。

こうなると一部のコアなファンは
熱狂しますが、そこまでで無い普通の読者はもう訳が分からなくなります

訳が分からないと、もう作品からは離れてしまいます。

また、マニアックになりすぎると、深く読み込まないと作品に入れないので
新規の読者も獲得しにくくなってしまいます。

マニアックになることで普通のファンが離れ、新規の読者も獲得できなくなると、作品は徐々に衰退して行ってしまうのです。

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このページの要約
最近の少年ジャンプ作品は、昔より綿密。

綿密になるのには、読者のニーズが背景にある。

作品が綿密だと、読み応えが増し、読者の親和感が高まるというメリットがある。

一方で、綿密過ぎると普通の読者が理解できなくなるというデメリットもある。

綿密過ぎて作品がマニアックになると、普通の読者は離れて行き、新規の読者も獲得しにくくなり、作品は衰退して行く。

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