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週刊少年ジャンプ作品衰退の法則

★このページの初出 2021年4月11日
★このページの最終更新日 2021年4月18日

6.連載が長く続きすぎる


<このページの目次>
1.製作側はヒット作品を長く続けたい
2.コアなファンも、作品は長く続いてほしいと思っている
3.読者も世の中も変わって行く
4.作品と読者にギャップが生まれる
5.作品が飽きられる
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1.制作側はヒット作品を長く続けたい
少年マンガ雑誌の雄少年ジャンプといえども、ヒット作品を産み出すのは大変です。

年に何十という新連載や読切作品を掲載しても、その中でヒット作品になるのは
ごく一部です。

コストをかけてようやくヒットしたのですから、ジャンプ編集部としてはできるだけ長くヒット作の連載を続けたいと思っています。

また
作者も、そのヒット作品が終わってしまうと次にヒット作を出せるかどうかは分からないので、できるだけヒット作品は長く続けたいと思っています。

つまり、作品の
制作側はヒット作をなるべく長く連載し続けたいと思っているのです。

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コアなファンも、作品は長く続いて欲しいと思っている
作品の大ファンで、単行本を購入するのは当たり前、テレビアニメも必ず見て、関連本や関連グッズまでも必ず購入するようなコアなファンは、当然作品は長く続いて欲しいと思っています。

そこまでのファンになるのは、その作品はその人にとって相当合っているはずです。また
人生において、そこまでファンになれる作品との出会いも少ないです。

こういうコアなファンは、作品を
全面肯定する傾向があり、その作品が描かれ続けること自体に価値を見いだします。

従って、コアなファンは制作側と同じぐらい作品の長続きを願っているのです。

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読者も世の中も変わって行く
連載が長期化すると、初期から読んでいる読者はその分歳を取って行きます

14歳で読み始めた読者は、5年経てば19歳になります。

読み始めた時は「
少年」であった読者も、5年経つと青年になって行くのです。当然思考や行動も変わります。

また5年も経つと
世の中も変わります
流行は毎年のように変わりますし、大きな厄災や世界情勢の変化などが起こると、人々の気持ちや
経済情勢も変わります。

ヒット作の作品内世界は変化しなくても、読者や現世はどんどん変化して行くのです。

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作品と読者にギャップが生まれる
少年ジャンプ掲載作品がメガヒットして、仮に10年連載が続いたとします。

その作品の連載開始時に13歳だった読者がいたとします。

ジャンプ作品の主人公は「
高校生」ぐらいが多いので、その作品の主人公も16歳の高校生だったとします。

13歳の読者にとって高校生の主人公は、自分が経験したことのない、
未知の存在です。

ですので、主人公の行動は非常に
新鮮です。

しかし読者は成長し、主人公と同年代になり、やがて主人公の歳を追い越します。

読者の状況もどんどん変わり、中学から高校に進学し、大学などに進学したり、
就職したりします。

また
人生経験もどんどん積んで行きます。

その間に様々なことも分かって来ます。

正義は1つではないこと。
勝利だけが全てではないこと。
異性の好きになるのは、外見の美しさだけではないこと。
夢を追いかけるのは大変だということ。
etc・・・

読者は成長し様々な経験や知見を得て、
考えも行動も変わって行くのです。

ところが作品で描かれる世界はそんなに
変わりません

10年経っても高校生ぐらいの主人公が、巨悪な怪物と戦っていたりするのです。

読み始めた時には新鮮で魅惑的に見えた主人公が、
幼く単純に見えて来たりするのです。

さらに
いらない知恵もついて来るので、
「なぜ敵にとどめを刺す前に自分達の事情を話したりするのだろう? 現実は有無を言わさず成敗するのに・・・」
「成人もしていない高校生が戦闘の最前線に立って、子供の
人権は大丈夫なのだろうか?」
などと、物語構成にまで疑問を持つようになったりします。

一言で言うと、作品と読者の間に
大きなギャップが生まれてしまうのです。

長期連載になることで、作品の狙っている読者層が成長し、ずれて行ってしまうのです。

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作品が飽きられる
作品と読者の間のギャップが大きくなって行くと、普通の読者はだんだん作品を読むのが面倒になって行きます。

作品が現実とは全く離れた絵空事に思えて来て、最後には読むのをやめてしまいます。

また、作品が長く続くと
「一体
いつになったら終わるのだろう?」
という読者も出て来ます。

上記の例のように13歳で読み始めた読者も10年経つと23歳になり、
就職したりします。

自分は仕事で忙しいのにのに、作品はまだまだ続きそうだと思うと、
「いつまでこの物語に付き合わないといけないのか」
と辛くなって来ます。

実際あるメガヒット作品の単行本を買い続けていた知人は
「いつ終わるか分からないからもう読むのはやめる」
と言って
購読をやめました

制作側と一部のコアなファンは連載はいつまでも続けたいと思っているのですが、普通の読者は
「いつになったら終わるか分からない作品」
読みたくないのです。

作品と読者との間にギャップが広がり、しかもいつ終わるか分からないとなると、読者は
「もういいや」
作品に飽き、突然読まなくなってしまうのです。

そんな読者が増えて行くと、作品は確実に衰退して行くのです。

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このページの要約
ヒット作を出すのは難しいので、作者や編集者は、ヒット作はなるべく長く続けたいと思っている。また、その作品に非常に合ったコアなファンも長く続いて欲しいと思っている。

連載が長くなると読者は成長する。また世の中も変わって行く。

作品世界は余り変化が無くても読者が歳を取ると、作品と読者のギャップが大きくなって行く。

また作品がいつ終わるか分からないと、読者は読みたくなくなってしまう。

結果、長期連載の作品に読者が飽きてしまい、作品は衰退して行く。

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