少年ジャンプ掲載作品がメガヒットして、仮に10年連載が続いたとします。
その作品の連載開始時に13歳だった読者がいたとします。
ジャンプ作品の主人公は「高校生」ぐらいが多いので、その作品の主人公も16歳の高校生だったとします。
13歳の読者にとって高校生の主人公は、自分が経験したことのない、未知の存在です。
ですので、主人公の行動は非常に新鮮です。
しかし読者は成長し、主人公と同年代になり、やがて主人公の歳を追い越します。
読者の状況もどんどん変わり、中学から高校に進学し、大学などに進学したり、就職したりします。
また人生経験もどんどん積んで行きます。
その間に様々なことも分かって来ます。
正義は1つではないこと。
勝利だけが全てではないこと。
異性の好きになるのは、外見の美しさだけではないこと。
夢を追いかけるのは大変だということ。
etc・・・
読者は成長し様々な経験や知見を得て、考えも行動も変わって行くのです。
ところが作品で描かれる世界はそんなに変わりません。
10年経っても高校生ぐらいの主人公が、巨悪な怪物と戦っていたりするのです。
読み始めた時には新鮮で魅惑的に見えた主人公が、幼く単純に見えて来たりするのです。
さらにいらない知恵もついて来るので、
「なぜ敵にとどめを刺す前に自分達の事情を話したりするのだろう? 現実は有無を言わさず成敗するのに・・・」
「成人もしていない高校生が戦闘の最前線に立って、子供の人権は大丈夫なのだろうか?」
などと、物語構成にまで疑問を持つようになったりします。
一言で言うと、作品と読者の間に大きなギャップが生まれてしまうのです。
長期連載になることで、作品の狙っている読者層が成長し、ずれて行ってしまうのです。 |