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ベロ出しチョンマ

作品名 ベロ出しチョンマ 作者名 (著)斎藤隆介(画)滝平次郎
べろだしちょんま さいとうりゅうすけ/たきだいらじろう


  ★このページの初出
  2020年2月22日

  ★このページの最終更新日
  2020年9月13日


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人ってのはめんこいもんだぁ!

出版社 理論社
初出・連載時期 1967年短編童話集として出版
1961年〜1966年『教育新聞』にて連載
管理番号 b7-juv2

作品概要 作者紹介
処刑シーンが胸を打つ『ベロ出しチョンマ』。思わず微笑んでしまう『ソメコとオニ』など、著者の高い筆力を堪能できる短編集。
単行本としての構成、滝平次郎の画も秀逸。
(著者)1917-1985。東京生。戦時中秋田に疎開。雑誌記者、新聞記者などを経て作家となる。主な作品に、『職人衆昔ばなし』『ゆき』『天の赤馬』など。
(画)1921-2009。18歳で木版画を始める。46歳頃から切り絵を始め、画風を確立。主な作品に、『八郎』『三コ』『モチモチの木』(いずれも斎藤隆介)等の絵本。挿絵に『ぴいちゃあしゃん』(乙骨淑子)など。

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この作品を殿堂に入れようと思った理由です。

創作民話の名作
最初に『ベロ出しチョンマ』を読んだ時は、感動で泣きました。
極めて無駄のない簡潔な文章と、滝平次郎の物語をよく表現した画により、一気に物語の中に引き入れられます。
主人公長松を通じて読者に伝えたいテーマは、人に対する普遍的なものだと思います。

2 ハイクォリティな画
()は、木版画家・切り絵作家として名高い滝平次郎(たきだいらじろう)です。
1つ1つが素晴らしくクォリティが高く、芸術作品と言っても過言ではありません。
木版画も切り絵も制作に非常に手間がかかります。
心のこもった画だけでも見る価値があります。











3 各話のレベルも高い
愛蔵版には15本、フォア文庫版には26本+αの作品が収められています。
切ない話、微笑ましい話、寓話的な話…様々な物語があり、いずれもレベルが高いです。
斎藤隆介という作家の多彩な才能を堪能できます。
『ソメコとオニ』などはユーモラスでとても好きです。











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管理者に特にインパクトのあった話や描写や言葉をピックアップします。

『ベロ出しチョンマ』
愛蔵版P63 
千葉の花和村に「ベロ出しチョンマ」というオモチャがある。チョンマは長松がなまったもの。このトンマな人形の名前である。(P64) 物語の冒頭。架空の場所、架空の人形なのに、著者の冷静な語り口はあたかも現存するかのように作品にいざないます。
作者の創作技術の粋を集めたともいえる大傑作!
『深読みベロ出しチョンマ』!で詳しく解説しています。

『花咲き山』
愛蔵版P7
あや。お前(め)はたった十の女ゴわらしだども、しっかり者だから、おらなんどおっかなくはねえべ。(P8) 山に住む婆があやにかける言葉。
作者は方言的な言葉の使い方が大変上手で、登場人物が生き生きと感じられます。
各作品で効果的に使われているので、語りの魅力も堪能できます。












春の雲
愛蔵版P49 
春の空は、まぶしい光のコナでいっぱい。まばたきすると、キラキラ。まつ毛にたまってた光のコナが落ちる。(P50) 詩的ともいえる冒頭部分。
話の内容は愛蔵版15話中最も悲しいと思いますが、この詩的な表現と、読者の頭の中に広がる春の麗らかな空の情景が救いとなっています。

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管理人と作品との関わり、読む際に知っておくと一層楽しめる情報、管理人個人の期待や意見です。

最初に読んだのはいつだったか分かりませんが、『ベロ出しチョンマ』は泣きました。

小学生の頃、斎藤隆介+滝平次郎の絵本『モチモチの木』を読んで、美しい絵だと思っていましたので、同じ作者ならと手に取ったのかもしれません。

今回改めて読んでみて、斎藤隆介の文章力は凄いなと思います。
作品に合わせて語り口を変えて、言葉や擬音を尽くす時は尽くして、逆に不要な時は文章を徹底的に省いています。

短編の見本のような作品ばかりです。

子供にはもちろん、大人が読んでも愉しめる作品集ではないかと思います。

著者はフォア文庫版の冒頭で
「おとなになればなるほど 童話がなつかしくなる心
そんな心の父母たちに 若ものたちにこの本をささげます。
そして、小さな人たちには、あなたから 話してあげてください」
と書いていますので、最初から大人を意識した作品群であるとも言えます。

表題作『ベロ出しチョンマ』については、大人になってから知人に読んでもらって感想を聞いたことがあります。

「圧政で犠牲になった家族の悲しい物語。ベロ出しチョンマが人形として残ったのは、長松一家の死を悼んだ者達のささやかな抵抗の証」
というような感想を言われ、僕の持った感想と違って驚きました。

確かに圧政に苦しむ民衆の、長松一家を通じてのレジスタンスの物語ともとれます。

作品の読み方は基本的に人それぞれ自由なので、そういう見方もあるんだと感心しました。
『ベロ出しチョンマ』は、様々な解釈の可能な奥深い傑作短編といえると思います。

『深読みベロ出しチョンマ』!で詳しく解説しておりますので、よろしければご一読ください。

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作品を今読むにあたっての注意点、版元の変遷、作家のその後など作品・作者について管理人が
必要だと思った情報を掲載しておきます。

初版は、『教育新聞』の1961年から1966年の連載を抜粋して理論社から「名作の愛蔵版」として発刊されました。
以後版を重ねて、2000年には103刷!!

愛蔵版は2000年に『ベロ出しチョンマ』と『モチモチの木』に2分冊化されました。
そして2015年刊の僕の持っている物でもう19刷ですから、恐ろしい程の大ロングセラーです。

さらに1979年からはフォア文庫でも発刊され、そちらも僕の持っている物で40刷!

収録されている『モチモチの木』や『八郎』などは単独で絵本になって版を重ねていますので、トータルでは相当売れた作品群といえるのでないでしょうか。

内容的には元々時代を超えた作品ばかりなので、これからも古びることはないと思います。

愛蔵版とフォア文庫版の差は、フォア文庫版の方が元々出版された形に近く、収録作品も多くなっています。

愛蔵版は上記のように、元々1冊だったのを2冊に分けたので作品が少なくなり、その分読みやすくなっています。

どちらがお勧めかというと、出版された当時のオリジナル形式で読みたいということでしたらフォア文庫版です。価格も安いのでお得感も高いです。解説もついています。

子供に読ませたい、読み聞かせに使いたい、長く持っていたいということでしたら、愛蔵版をお勧めします。

文字が大きく行間も広く、全ての漢字に振り仮名もついていますので、大変読みやすいです。
またフォア文庫版には入っていない画も入っています。
さらにハードカバーで丈夫に作られています。
またカバーを外した中の表紙まで4色刷りという贅沢な作りですので、蔵書として置いておくのにも向いています。

どちらを選んでも満足度は高いと思いますので、使用方法、予算に合わせて選ばれるのがいいと思います。

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このページを作成する時に使用した作品の詳細を底本として記載しておきます。
また参考にした書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。
さらに関連して読んで頂きたい書籍・サイト・ブログなども掲載させて頂きます。

底   本 愛蔵版2015年2月第19刷、フォア文庫40刷を元にこのサイトを作成
参   考 特になし
関   連 ベロ出しチョンマ(愛蔵版) ベロ出しチョンマ(フォア文庫版) 

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ベロ出しチョンマ』を購入されたい方のための情報
※必ずこの表中段の「購入にあたっての注意点」をお読みください
『ベロ出しチョンマ』の現在の販売状況
2020年1月現在、愛蔵版とフォア文庫版が販売されています。電子書籍版は無いようです。

愛蔵版は大きな書店に置いてあったりします。ただ置いていない場合も多いので、ウェブサイトで購入した方が楽かもしれません。

フォア文庫版は書店で手に入れるのは難しいと思います。
私も購入しようと沢山の本屋に行きましたが、フォア文庫自体が少ないのが現状です。
従って、フォア文庫のウェブサイトかamazonなどのネット販売で購入するのが現実的です。

フォア文庫版は、僕の持っているものと表紙が変わっているようです。
どちらも表題作は「ベロ出しチョンマ」なのに、表紙絵は他の作品になっています(笑)
購入にあたっての注意点
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等の苦情・意見は一切受け付けませんので、購入の際は十分留意してください。
購入サイト紹介
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